日本ではNISAが広く普及し、国民が将来の資産形成についてより身近に感じるようになってきました。
NISAはつみたて投資枠と成長投資枠の2つの方法で運用ができますが、どちらの運用スタイルにおいても圧倒的に投資されているのが米国株のS&P500です。
特に投資経験がなく、初めてNISAをされる方は「みんながやっているからとりあえずS&P500にしておこう」という方も多いのではないでしょうか。
その考え方は悪くないと思いますし、投資先を悩んで行動ができないよりは断然いいと思います。
しかし、投資先のリスクを把握しておくことはとても重要です。なぜなら、自分の資産がなぜ上がったのか、なぜ下がったのかが理解できないと常に不安な気持ちのまま運用をしてしまうからです。
また、万が一大きな下落につながるような経済イベントが起きた時に、対応に遅れると多大な損失を出してしまう可能性もあります。
ここでいう投資の「リスク」とは値が上がったり下がったりする要因のことを言います。
特にNISAをされている方で、資産が大きく減った時に怖くなりすぐ解約をしてしまう方も多くいますが、この考え方では資産を安定的に増やしていくことはできません。大事なことは俯瞰してじっくりと運用することです。
そのために、今回はS&P500の価額が変動する要因(リスク)について学んでいきましょう。
S&P500とは?
S&P500は簡単に言うとアメリカの企業を代表する500社の株価の平均です。実際は、きれいな平均ではなく、時価総額(会社の価値)によって加重平均されているため、時価総額の大きい企業の影響を受けやすくなっています。
2025年3月現在の米国時価総額ランキングは以下の通りです。
1. アップル
2. エヌビディア
3. マイクロソフト
4. アマゾン・ドット・コム
5. メタ・プラットフォームズ
他の株価指数で有名なものにNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)もありますが、NYダウの構成銘柄は30社です。
S&Pと比べると構成銘柄数が大きく異なることが分かります。
これからS&P500の大きな2つのリスクを解説します。
リスク①:株価変動リスク
最も分かりやすいリスクが株価変動リスクです。
株価は市場が開いている時間帯、1秒単位で常に動いています。S&P500を構成する500社の株価変動によってその値動きが決まります。
私はyahooファイナンスのアプリなどでその動きを確認しています。
1つの企業単体で見ると、株価は大きく上がったり下がったりしますが、500社の平均値ですので株価が上がる企業も下がる企業もあり、S&P500の動き自体は比較的緩やかになります。
日本ではだいたい朝の5時~6時に米国の市場が閉まるため、朝起きた時に毎日終値を確認するようにしています。
通常は毎日2%以内の変動に収まっていることが多いですが、2%以上の変動があった時は何か金融政策や経済情勢のニュースが出ているかもしれないのでチェックしてみましょう。
リスク②:為替変動リスク

続いては為替変動リスクです。S&P500の場合は米国のドルと円の相場に関係してきます。
今現在(2025年3月)は1ドル150円弱となっていますが、最も円高の際で75円(東日本大震災後)、最も円安の際は360円の時もありました。(当時は1ドル360円の固定相場制でした)
S&P500など海外に投資をするファンドにおいては円高になると資産の減少、円安になると資産の増加となります。この点を詳しく解説します。

日本人が投資をする際は、銀行や証券会社で手続きをし日本円で資金を払います。(上図①)
資金を預かった金融機関は日本円をその時の為替相場でドルに変換(上図②)します。
変換されたドルで実際の米国企業に投資金が払われる(上図③)仕組みになっています。
ですので、実はアメリカの企業に投資をしている方はドルの資産を保有しているのと同じだということです。

ドルの資産を持っていた場合の為替レートの動きによる資産変動は上の図のようになります。
当初、1万円で100ドルを購入したとします(この時の相場は1ドル=100円)。その後の為替レートの動きによって1ドル=150円と円安になった場合、その時点で100ドルを円に交換すると15,000円が戻ってくるので5,000円の儲けがでます。
逆に1ドル80円と円高になった場合は、100ドルが8,000円の価値になるので2,000円損をしてしまうということです。
つまり、S&P500への投資はアメリカのドルを保有していることになるので為替レートの動きで大きく資産が変動することになります。
為替リスクが変動する要因は別に記事で詳しく解説しています。
まとめ
今回はS&P500に投資をする上でのリスクを2つ解説しました。
株価変動リスクと為替リスクはS&P500の資産が変動する主な要因であるため頭に入れておきましょう。
日々の変動がどんな情勢やニュースの影響を受けているのかが分かるようになるとさらに投資がおもしろくなると思います。
ご覧いただきありがとうございました。