投資初心者がアクティブファンドを調べると、ポジティブな情報もあればネガティブな声も多く、何を信じて良いのか迷ってしまいますよね。特につみたてNISAやNISAの成長投資枠を利用するにあたり、アクティブファンドを選んでよいのか悩んでいる方も多いはずです。
この記事では、アクティブファンドの仕組みや特徴を丁寧に解説したうえで、投資初心者が見落としがちな「デメリット」や「注意点」に焦点を当てて紹介します。
結論から言えば、アクティブファンドには確かに魅力があるものの、投資初心者が理解せずに選ぶと後悔する可能性が高いです。しっかりと仕組みとリスクを理解して、後悔のない投資判断を下せるようにしましょう。
1. アクティブファンドとは?初心者向けにやさしく解説
1-1. アクティブファンドの基本的な仕組みとは?
アクティブファンドとは、市場の平均(ベンチマーク)を上回る運用成績を目指す投資信託のことです。ファンドマネージャーと呼ばれるプロの運用者が、銘柄の選定や売買のタイミングなどを自らの判断で決定し、積極的に投資運用を行います。
たとえば、日本株を対象とするアクティブファンドであれば、「TOPIX」や「日経平均株価」などを上回るリターンを出すことを目標にします。
このように、アクティブファンドは「市場平均以上を目指す」ことに価値があります。
1-2. アクティブファンドとインデックスファンドの違い
投資信託の運用スタイルには主に2種類あります。
比較項目 | アクティブファンド | インデックスファンド |
---|---|---|
運用方法 | 市場平均を上回ることを目指す | 市場平均に連動した運用 |
運用担当者 | ファンドマネージャーが個別判断 | 自動的に指数に連動 |
手数料 | 高め(年1%~2%前後) | 低め(年0.1〜0.3%程度) |
リターン | 上振れ・下振れの可能性 | 安定的・平均的 |
投資初心者向け? | やや難易度高い | 初心者に人気 |
運用方法にある「市場平均」とは、例えば日本の日経平均株価やTOPIX、アメリカのS&P500やニューヨークダウなどの株価指数のことを指します。
インデックスファンドは手数料も低く、運用もシンプルなため、投資初心者にとっての最初の一歩として人気です。対してアクティブファンドは、「もう少し利益を狙いたい」「テーマ投資をしたい」といった目的で選ばれる傾向にあります。
尚、「テーマ投資」とは流行や社会問題などのテーマに関連した銘柄に投資を行うことです。例えばAI投資や、SDGsに積極的な企業への投資などです。
1-3. 代表的なアクティブファンドの例
- ひふみ投信:日本の中小型成長企業への投資で有名。過去には市場平均を大きく上回る実績も。
- コモンズ30ファンド:30年後も成長が見込める企業に厳選して長期投資。
- フィデリティ米国優良株ファンド:米国を代表する優良株に投資。
これらのファンドは、テーマや投資哲学が明確で、「どんな企業に投資しているのか?」を自分の目で確認しやすいのが特徴です。
2. アクティブファンドのメリット|投資家が惹かれる理由
2-1. 市場平均以上のリターンを得られる可能性がある
アクティブファンド最大の魅力は「当たれば大きい」ことです。とくに景気やテーマの波に乗ると、市場平均の数倍のリターンを出すことも珍しくありません。
例:ある年に「AI関連株」に投資していたアクティブファンドが、日経平均+10%に対して+35%のリターンを出したことも。
このように「勝ち組」を狙って選ぶことができれば、資産形成のスピードが一気に加速する可能性があります。
2-2. 専門家による運用なので、安心感がある
銘柄選定やマーケット分析は、ファンドマネージャーやアナリストが行うため、個人では難しい情報を活かした投資が可能になります。企業のIR資料や現地視察などを通じて、深く掘り下げた投資判断をしてくれる点は、大きな強みです。
2-3. テーマ投資や社会的な価値観に基づく運用が可能
アクティブファンドの中には、「SDGs」「ESG」「AI」「ヘルスケア」など、社会的な意義や成長テーマに合わせた投資先を選んでいるものもあります。
自分が応援したい分野に投資することで、投資を通じて社会に貢献するという価値観にもつながります。
3. アクティブファンドのデメリット|初心者が知っておくべき注意点
3-1. 信託報酬などの運用コストが高い
アクティブファンドでは、年間1%以上の信託報酬がかかることが一般的です。たとえば100万円投資した場合、年間で1万円以上がコストとして差し引かれます。
これに対してインデックスファンドは、0.1%以下のファンドもあり、長期でみるとその差は非常に大きくなります。
例:30年間、年1%の手数料差があると、最終的な資産額に数十万円〜100万円以上の差が生じることも。
3-2. 市場平均を下回る成績になるリスクがある
意外に思われるかもしれませんが、多くのアクティブファンドは、インデックスファンドに勝てていないという事実があります。
米国のデータでは、10年間でアクティブファンドの7割以上が市場平均(S&P500)に負けているという調査結果もあります(SPIVAレポートより)。
つまり「高い手数料を払っても勝てない」可能性があるのです。
3-3. 長期ではインデックスファンドに勝ちにくい傾向も
短期的にはアクティブファンドが勝つこともありますが、長期スパン(10年〜20年)でみると成績は安定しづらいです。
理由は、以下のようなものがあります:
- マーケットの波に乗れない年もある
- 運用戦略が通用しなくなる
- ファンドマネージャーが変わることで運用がブレる
3-4. ファンドマネージャーの力量に左右される
アクティブファンドは人間の判断によって運用されているため、マネージャーの交代や方針転換によって運用成績が変化するリスクがあります。
一見、好成績のファンドでも「運用責任者が変わった」ことで成績が悪化するケースもあります。初心者には、こうした情報をチェックするのが難しい点もデメリットです。
3-5. ファンド選びが難しく、情報収集が大変
アクティブファンドは数が多く、方針や投資先もバラバラです。銘柄の比較・運用実績・コスト・運用チームの実力など、多くの要素を見比べる必要があり、初心者にはハードルが高めです。
4. つみたてNISAでアクティブファンドを選ぶ際の注意点
4-1. つみたてNISAで選べるアクティブファンドは限られている
つみたてNISAでは、金融庁が定めた条件を満たした厳選されたファンドしか購入できません。そのため、つみたてNISAで選べるアクティブファンドはごく一部に限られています。
この制度は「長期・積立・分散」に適したファンドを対象にしており、コストが高すぎるものや実績の乏しいファンドは対象外となります。
4-2. 長期目線での安定性を最優先すべき
つみたてNISAは、少額でコツコツ積み立てていき、数年後や数十年後に大きな利益を目指すものです。
したがって、短期的な成績よりも「長期的な安定性」を重視したファンド選びが重要になります。
アクティブファンドでも、10年以上の実績があり、コストも比較的低めのものを選ぶと安心です。
4-3. インデックスファンドと併用するという選択もアリ
つみたてNISAでは、アクティブとインデックスの併用投資もおすすめです。たとえば、資産の80%をインデックスファンド、20%をアクティブファンドにするといった形でリスクを調整できます。
5. 成長投資枠でアクティブファンドを使うときの注意点
5-1. 一括投資のタイミングに注意
成長投資枠では一括で投資することもできますが、アクティブファンドはタイミングによって値動きが大きいため、慎重に判断する必要があります。
たとえば、株価が高値圏にあるときに一括投資すると、その後の下落で含み損を抱えるリスクが高くなります。
5-2. 短期では値動きが激しいことがある
アクティブファンドは、特定テーマに集中していることが多いため、景気動向や業界のニュースに影響を受けやすくなります。短期で見ると基準価額が10%以上変動することも珍しくありません。
長期視点で投資できない人には、ストレスの大きい商品になる可能性があります。
5-3. 全体の資産バランスを見ながら選ぶ
成長投資枠でアクティブファンドに偏りすぎると、ポートフォリオ(資産全体のバランス)がハイリスクに傾きやすくなります。債券やインデックスファンドなどと組み合わせて、全体としてのバランスを保ちましょう。
6. 【結論】アクティブファンドは“理解して選ぶ”ことが大切
6-1. メリットとデメリットを冷静に比較しよう
アクティブファンドは「当たれば大きい」魅力がある一方で、コストやリスクも確実に存在します。初心者のうちは「良さそう」「成績がいいから」だけで判断せず、冷静に比較・検討することが大切です。
6-2. 自分の投資目的と照らし合わせて判断する
- コストを抑えて安定運用したい → インデックスファンド中心
- 少しリスクを取って高リターンを狙いたい → 一部アクティブを加える
といったように、自分の性格や目標に合った投資スタイルを確立していきましょう。
6-3. 最初は少額から始めて学んでいくのが安心
迷ったときは、まずは月1,000円〜5,000円の少額から始めてみるのが良い方法です。実際に投資しながら勉強し、経験を積み重ねていくことで、自信ある投資判断ができるようになります。
\まとめ/
- アクティブファンドには「市場平均を上回る」魅力があるが、コストやリスクも高め
- 多くのアクティブファンドはインデックスファンドに長期で勝てていない
- 投資初心者は「理解して選ぶこと」が最も重要なポイント
- つみたてNISAや成長投資枠では、自分の目的と照らし合わせて判断を