ほとんど資産を持っていなかった私が政策公庫の創業融資を受けられた理由

起業

今回は、私が個人事業主として学習塾を作った際に利用した、日本政策金融公庫の創業融資についてお話したいと思います。創業融資を受けたいけどどんな基準で審査されているか分からない、面談時にはどんな準備が必要か分からず不安という方も多いと思います。

私自身も創業融資の面談の際は、色々な情報を集めてしっかり準備をした上で臨みました。私は24歳で会社員を辞めて事業を始めましたが当時100万円ほどしか貯金がなく、その事業の経験も学生時代のアルバイトくらいしかありませんでした。そんな私でも創業融資を受けられることができました。

そこで私が創業融資を受けるにあたって意識したことをまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。

政策公庫の創業融資の概要

日本政策金融公庫が運営する創業融資の概要は以下のようになっています。

  • 対象者:事業をこれから始める、もしくは税務申告を2期終えていない方
  • 資金の使い道:設備資金・運転資金
  • 利率を通常より0.65%引き下げ
  • 返済期間
    • 設備資金:20年以内(うち据え置き5年以内)
    • 運転資金:10年以内(うち据え置き5年以内)
  • 原則無担保・無保証人

日本政策金融公庫は国の運営事業体ですので、銀行で申し込む創業融資と比べ比較的審査が通りやすくなっています。

利率に関しては政策公庫の方が銀行融資よりも低いというイメージがあると思いますが、実際は信用保証協会が保証する銀行融資の方が制度によって金利が低い場合も多々あります。お住いの市などが運営する信用保証協会の保証制度を確認してみてください。

創業融資を申し込む手順

融資について相談

申込や制度内容に関して不明な点がある場合は、まず電話や窓口にて融資の相談を申し込みましょう。手続きに必要な書類や手順を丁寧に説明してくれます。

実際に自分で申し込んでから書類に不備等があると返って時間がかかってしまうので、手続きが不安な方はまず相談に行った方がいいでしょう。

申込み

融資の申し込みは基本的にインターネット上で行います。

その際に、提出しなければならない必要書類もネット上で提出をします。操作も難しくありませんでした。具体的に提出する書類はそれぞれ事業形態等で異なりますが例えば以下のものがあります。

  • 創業計画書(公庫のページからダウンロード)
  • 設備資金の場合は見積書
  • 履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人の場合)
  • 開業届(個人事業の場合)
  • 本人確認書類(免許証やマイナンバーカード)
  • 事務所の賃貸契約書
  • 通帳の写し(自己資金を入れる場合はその資金が分かるもの)    など

また、設備資金で既に支払っている場合は、その領収書でも申し込み可能です。書類については追加で提出をお願いされることもあります。

面談

資金の使い道や事業計画等について公庫の担当と面談があります。融資を受けるにあたって最も重要なステップなりますのでしっかり準備して臨む必要があります。

具体的には、創業計画書について詳しく深堀をされたり、個人で持っている資産等についてかなり細かく質問されます。また、行う事業のこれまでの経験や将来性についても聞かれるので様々な角度からの質問を想定して準備をしましょう。

私は乗っている車の車種まで聞かれて少し驚きました。

融資

面談が無事終わり、審査が通ると融資決定の連絡が来ます。私の場合は面談後2週間かからないくらいで連絡が来ました。そこから印鑑証明書などの追加書類を提出して2週間くらいで融資金が入金されます。

場合によっては申し込んだ金額の一部だけの融資になることや、希望の返済期間よりも短い期間になることがあります。

公庫での面談時や準備で意識したこと

創業計画書をきれいに作成する

面談は創業計画書の内容をもとに深堀をされていきます。この創業計画書が分かりにくかったり読みにくかったりすると事業に対する不信感にも繋がってしまいます。

創業後の売り上げ計画も丁寧に作成しましょう。数か月後や数年後(軌道に乗るまで)の売り上げ計画も作成しますが、高すぎる目標でも実現性で疑われてしまいますし、低すぎても将来性が見えません。十分に実現可能な目標で将来性も見える計画を立てましょう。

事業の強みや弱みを把握する

その事業が他者と比べてどんな点が強みなのかも面談時に必ず聞かれます。他と同じようなことをやっても強いコネクションや長い経歴がなければ成功する確率が低いでしょう。他にはない差別化やアピールポイントをしっかり整理した上で臨みましょう。

また、事業の弱みについて聞かれることもあるので、それをどうカバーしていくのかまで含めて伝えられるようにしておきましょう。私は学習塾を開業しましたが塾講師の経験は学生時代のアルバイトのみでした。その弱みを保有資格などでカバーしました。

今の生活の収支状況を把握する

融資審査で最も重視する点は、もちろんですが「その人がきちんと返済する能力があるか」です。返済能力とは、毎月いくらの収入があり、様々な固定費や生活費を引いたうえでどのくらい手元に残るのかという部分です。

特に固定費のところで他に借り入れがある場合は細かく聞かれます。多くの方が車のローンや学生時代の奨学金があったりしますが、具体的に毎月いくら払っているか把握しておかなければいけません。そこが曖昧になっていると「借入の返済に対して計画性がない人」と思われてしまいます。大切なことは、自分がしっかり返済計画を立てられ、その能力が十分にあることを示すことです。

事業へのあつい思いを伝える

もちろん、数字の面で事業を評価してもらうことが重要ですが、そこにかける思いも大切です。数字を見ていると言っても最終的に審査を通すか通さないか判断をするのは人です。

事業にかける思いを伝えて面談担当者の心に何かささるものがあれば確実に審査は有利な方向に進みます。「なぜその事業をしたいのか」「将来その事業でどんな未来を目指すのか」という部分は数字では表せない思いの部分です。面談時にはその点も意識して伝えましょう。

持っている資産も公開する

資産を持っているということは返済能力としてプラスの材料になります。例えば私は車のローン残高が既に0円であったため、車も資産として考えてもらうことができました。その他にも、金融商品(株や投資信託など)や不動産も持っている方は全て伝えておいた方がいいでしょう。「万が一のことがあっても融資を返すことができる」というアピールになります。

家族からの支援もアピールする

家族がその事業に対して応援してくれているかどうかも重要になります。もちろん、事業をする上で家族からの支援を前提にする方はあまりいないと思いますが、審査で見られているのは万が一事業に失敗してしまった時でも返済することができるかです。

若い方にとっては両親からの支援や結婚をしている方にとっては配偶者からの支援が大事になってきます。場合によってはその家族の収入についても聞かれるかもしれません。家族からの支援を受けるつもりはなくても万が一の時は家族から支援も受けられるということをアピールしましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は創業融資の面談で気を付けるべきポイントをご紹介しました。

創業時における融資は事業を勢いづける上で非常に重要なものになると思います。私自身も貯蓄が少なかった状況で、融資が受けられなければ事業を継続させるのが難しかったかもしれません。

資産も経験も少ない私でも融資を受けることができたのは、軌道に乗せるまでの計画や事業にかける思いなどがしっかり伝わり、理解してもらえたからだと思っています。

中には自分なんかは通らないと思っている方もいるかもしれませんが、諦めずに挑戦してほしいと思います。より多くの人が何かに挑戦して人生を大きく変えてくれることを願っています。