トランプ大統領が発表した関税政策によって世界中の株価が大きく下落をしました。経済の中心であるアメリカから世界中への関税発動によってグローバルな商取引が縮小するという懸念が広がったからです。
しかし、トランプ大統領はその相互関税政策の発表直後に関税の発動を中国以外の国は3カ月遅らせることを発表し、株価は上昇に転じました。「中国以外は関税に対して報復関税をしてこなかったから」と発言をしています。
そんな中、中国との貿易戦争への懸念も緩和されたことで米国の株は大きく上昇に転じました。
米中首脳会談の内容
アメリカと中国は互いに関税をかけ合い、アメリカは145%、中国は125%にまで引きあがっていました。そんな中で行われたトランプ大統領と中国の習近平国家主席による首脳会談において建設的な対談が行われました。結果、両国が課すことにしていた関税を90日間、互いに115%引き下げることで合意しました。
両国が経済活動において分断を望んでいないことを再確認できたことが大きな要因ですね。ただ、この関税政策が発表された直後に世界中の企業が中国の工場を移転して生産拠点を移したり、米国への輸出計画を見直したりしたと思います。そんな企業にとってはトランプ大統領の一転二転の行動に振り回されてしまっていますよね。日本のホンダも自動車の生産を国内から一部アメリカへ移すことを決めていました。
ただ、現状は関税について「3か月間の猶予」という形になっているのでこれからどうなるかは分かりません。トランプ大統領の動向を見ていると各国の交渉や条件次第で撤廃になる可能性もありそうですよね。
米国株は急上昇
米中の関税引き下げ発表により米国株は急上昇しました。5月12日、ニューヨークダウは前日比+1,160.72ドルの42,410,10ドル。NASDAQは前日比+779.42ドルの18,708.34ドル。S&P500は前日比+184.28ドルの5,844.19ドルとなりました。
ここまで関税発表による急落後から徐々に回復はしてきたもののここ最近はほとんど変化のない「様子見」状態が続いていました。NISAで運用している人の多くが米国株や全世界株に投資をしていると思うので、暴落前の水準にかなり近づいたのではないでしょうか。解約してしまった人はもったいないですが、長期目線で戻るのを待つという選択をした方はやっと少し安心ができそうですね。
米国株の上昇に続いて欧州など各国の株価指数も軒並み上昇しています。日経平均株価は発表の翌日1.4%ほど上昇しました。
為替もドル高円安が進み、外国資産はプラス要素
米中の緊張緩和によってドルへの資金流入が進んで日米の為替レートは1ドル145円から1日で148円へと円安になりました。NISAでアメリカに投資をしている人にとっては為替だけで資産が2%ほどプラスになります。ここから円安傾向に転じそうですね。
円は低リスク通貨とされているので、ここから再度関税への不安感が高まってくると円に資金が流れ込み円高ドル安となっていくかもしれません
投資においては企業価値や将来性を見る
トランプ大統領の政策で株価が乱高下していますが、投資において大事なことは企業の本質的な価値や将来性を見ることだと私は思います。関税といっても貿易に対して関係するものでありながら国内のみでビジネスをしているほとんどの企業の株価にも影響しました。また、トランプ大統領も大統領をずっと続けられるわけでもなく、このような行き過ぎた政策は大統領が変わればすぐになくなっていくものだと思います。
特に日本人は心理的不安によって売りが売りを呼ぶ現象が顕著に見られます。長期的な目線で投資をしているならばこういう時にこそ企業の価値を再確認し、5年後10年後まで成長し続けられるのかといった観点で見ていきたいですね。現にこれまでのほとんどのショックは5年以内に暴落前まで回復をしています。暴落に直面した時は「このお金を5年間使うのか」と考え、使わなくてもいいならば長い目線でゆっくり戻るのを待ちましょう。
今後もトランプ大統領の動向に注目
現状は関税の措置を延期されている状態ですので、今後トランプ大統領がどんな対応をしていくのか注目する必要があります。各国の交渉次第で関税が撤廃される可能性もありますが、当初の予定通りに関税が発動されてしまうとまた株価の下落につながるかもしれません。日本にとっては自動車関連の品目が注目ポイントですね。